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「嬢・・・ご無沙汰しておりました。
気付かなかった事も含め、今までのご無礼お許しください。」
『はあ????
だ、誰だお前・・・・?』
気付かなかった事も含め、今までのご無礼お許しください。」
『はあ????
だ、誰だお前・・・・?』
マジか。
さっきまで戦っていたティアマットが、突然人の姿に変身しやがった。
「この姿を見ても思い出されませんか・・・
流石は王家の呪術・・・。」
一体こいつは何を言っているんだ?
『思い出すも何も・・・・・・』
ん・・・・・・?
いや・・・・でもこの男は・・・
確かに・・・・妙に懐かしさのある声・・・
この男は・・・・
『・・・・知っている。』
そう、知っている・・・
こいつは・・・いや、この人は・・・
『・・・参謀長・・・・?』
「嬢・・・!思い出していだだけましたか!」
『いや・・・それしか分からない。
私とあんたの関係とかは・・・それ以外もだけど全然何も思い出せない。』
確かに以前会っている。
会っているというよりは一緒に行動を共にしてきた感がある。
極めて近い立場での関わりがあった・・・ような。
「そうですか・・・いや、そうなのでしょう。
正直なところ、あの姉王様の呪術がそう簡単に解けるとも思えません。」
『あんたは私の過去を全て知っているのか?』
「ええ。全て・・と言うと語弊がありますが、大抵は。
記憶を失う経緯や前後関係などは一応。」
『・・・・。』
さてどうしたものか。
失われた自分の過去に興味が無いなんてことは勿論あり得ないのだが、
状況が状況だ。
「ゆっくりお話をしたいのですが、下らぬ妖魔の奸計でこの神殿はもう持ちません。
ワープキューブがあります、一旦退きましょう。」
『え、ちょっ・・・』
----シュイイィィィィン-----
この感覚は・・・!
上に引っ張られるような、真っ逆さまに下に落ちるような
以前にも同じ経験をした事がある。どこだっけ。
-----シュウゥゥン-----
『・・・何だ?夜になってる・・・。』
・・・いや違う・・ここは・・
「我ら誇り高き龍人族、それらを統べる龍王家の居城です。」
浮遊城!この時代に既にあるのか!?
2000年前の今から言えば、あれは数百年後のルフェイン文明だろう?
「? どうされました嬢。」
『わけがわからない。』
「そうでしょうとも。混乱するのも無理のない事です。
嬢は姉王様によって記憶を封じられてしまっています。」
『姉王・・・?さっきもちらっと言っていたな。』
「はい。先代の龍王です。
嬢と血の繋がった姉君であられます。」
『私の・・・?あんたの姉じゃないのか。』
「私などは平民の生まれ。滅相もない話です。」
『ならあんたは誰なのさ。』
「私は龍王家直属の軍事参謀長ティアマット。
姉王様からの命で、嬢の幼少時よりの目付け役を仰せつかっておりました。」
ふむ・・・つまり先生・・・か?
確かにしっくりくる存在感だ。
とはいえ・・
『そもそもその龍王家がわからない。』
それがさっぱりわからない。
「龍王家とは、我ら龍人族を統べる一族です。」
・・・それはさっき聞いたな。
『えーと・・龍人族?ってのは何だ。』
「私達のように、人でありながら龍に変身できる種族の総称です。
戦いと血を好む誇り高き一族であります。
特に王家の方々におかれましては、その傾向が強いとされております。」
マジか。
『私も・・・?』
龍に変身だと??
「無論そうです、いえ、そうでした。
しかしその変身能力も姉王様により封印され・・・」
なるほど・・・。
とにかくその姉が色んな事の原因なわけか。
姉か・・・。
『私に姉がいるのか・・・。
会って話をしてみたい。』
それに聞くのが手っ取り早い。
「いえ・・・・姉王様は既に他界されました・・・・。
やはりそれも覚えてらっしゃらないのですね・・・。」
『・・・!?』
「不治の病でありました・・・。
姉王様の他界と前後して次期龍王の後継者戦争が始まり・・
姉王様は、その・・何と言いますか・・・」
『?』
何だ?何か口ごもっているような感じだ。
「嬢をその戦争に巻き込みたくない一心で・・・です。
呪術により嬢の能力と記憶を封じられました。
そして誰にも見つからない場所へと移されました。」
ふーん・・・龍王ねえ・・・。
でも龍王って確か・・・
『龍王って・・・バハムート?だっけ?あれじゃないの?』
「バハムート!?あれなどは戦いを好まぬ小賢しい下龍!
誉れ高き王家の血筋とは程遠い下賤な一族ですよ!?」
『そ、そうなんだ?
でも何ていうか、実際に私の来た時代ではバハムートが龍王だったんだけど。』
ん・・・ちょっと待てよ?
時系列が色々おかしい。
バハムートは知っているのか?
あれは2000年後の龍王だ。
第一、この城がおかしい。
『それ以前にこの城は何なんだ?ルフェイン文明とは違うのか?
そもそも・・・前回の浮遊城で会ったティアマットは何なんだ。
あんたあの時は何も言っていなかった。』
「前回?私が嬢と再会したのは今が初めてです。
それにこの城は元々龍王家の物ですよ。
ルフェインと仰りましたが、確かそのような名の龍人族の職人に建立させた物と聞いております。」
『あ、そうか。
ここは過去だから・・それでいいのか・・?』
浮遊城のルーツは元々ルフェインという名前の龍人族の職人が作った物で、
ここから何百年か後に文明として成り立っていく・・ってことだろうか。
今ここにいるティアマットは数百年後の未来に浮遊城で光の戦士と戦う。
その数百年後の未来とは、私にとってはつい最近の過去。
このティアマットはそんな事は知らない・・・ってことか。
もっとも、未来のティアマットが私に何も言わなかったのは謎のままだが。
「そうか・・・そういう事ですか・・・。」
『え?』
今度はティアマットの方が何か納得している。
「姉王様は嬢に封印を施した後、誰にも見つからない場所へ転移させたと仰りました。
私には正直そんな場所が存在するはず無いと不思議に思っていたのです。
浮遊城のデータベースにログインすれば、この世の事象の全ては簡単に割り出せるんです。」
何だか凄い話だ。
「先ほどからの嬢の話に違和感がありました。
嬢・・・この時代ではなく、今より未来から来られたのですね?」
『あ、そうそう・・・それも言おうと思ってたんだ。』
よくわかったな。
流石に王家の参謀長ってのは伊達じゃないって事か。
「見つからない場所とは、空間の事ではなく時間の事だったとは・・・
さすがは姉王様としか言いようがありませんな。
嬢、何年後から来られたのか把握しておられますか?」
『えっと、2000年後。らしいよ。』
「2000年ですか・・・そしてその時代でもティアマット、私に会ったと。」
『そう。浮遊城でね。』
「はっきりした事は言えませんが、それは私では無いと思いたいのが本音です。
実際、龍人族は長命ですから2000年を生きる事については問題ありません。
ですが、嬢に会っておきながら気付かない私など認めたくない。」
あんただって最初気付かなかったじゃないか。
と思ったけど、まあいいや。
しっかしまあ、そんなに長く生きるのか。すげーな。
「もっとも、人としての老化を避けるために、
晩年は龍の姿のみで暮らす者も少なくありません。
さきほどの神殿に配備していた私の部下達もそうですが、
あれらは既に人へとは戻れなくなったドラゴン達です。
戦闘力も全盛時に比べれば遥かに劣りますが、
それでも人の子を相手にする分には不足なかったはずです。」
なるほど・・・。
このティアマットと未来のティアマットとでは戦闘力に違いがありすぎた。
未来のやつはいわゆる劣化タイプだ。
2000年も生きれば衰えるのは仕方ないのだろう。
そしてこのティアマットも哀れただのモンスターになってしまう、と・・・。
ふーむ・・・・。
『大体わかった。』
「はい。」
『・・・・・。』
さてどうしたものか。
この状況はよろしくない。
過去についての話を聞かされた所で、記憶もなければ自覚もない。
それよりも、今現在の問題としてやらなければならない事が残っている。
光の戦士として。
『しかしあんたはどうしてまた風のカオスなんかに?
背後にいるのはやっぱり龍王?なのか?』
「いえ。今の龍王には私は仕えておりません。
旧王家は姉王様が亡くなり、嬢も行方不明と処理されて一族の血は途絶えました。
私にしてみれば現王家に仕える義理もありませぬ。」
『じゃあ何故。』
「風のカオスなどというのは単なる立場でありまして、実際はただ雇われているだけなのです。
落ちぶれた物ですが、それでも我が力を振るえる場があればそれで良い、と。」
『雇われたってのは誰に?』
「ガーランドという人間です。真のカオスとして世を滅ぼすという。
私はその事自体に興味は一切ありませんが力を貸しております。
この立場でなら様々な強者と戦う事ができると思った次第です。
結局はそれが龍人族の血という物でしょうか。」
人の姿をしたティアマットは苦笑混じりにそう答えた。
龍人族・・・龍王家の血・・・。
私にもその血が流れている・・・
さっきの戦闘は純粋に楽しかった。
今こうして話をしていても未だ昂ぶりが治まらない。
正直に言えば決着が着けれなかったのが無念だ。
「ですが、最早どうでもいい事ですな。今こうして嬢がお戻りになられた。
私が仕えるべき主は、旧王家の血筋。
それが再び叶う今が嬉しくてなりません。」
『・・・・・・。』
そう言われてもな・・・。
「姉王様は反対なさっておりましたが、
私自身は次期龍王はやはり嬢しかおらぬと思っておりました。
ですが軍人の私が政に口を出すなど適わぬこと。
姉王様に従う事が絶対なのです。」
『私はそんな気はないぞ。
少なくとも今は他にやらなければならない事がある。』
そうだ。先に行った黒魔を追わなければ。
「やはりそう仰いますか。」
『当然だ。さっきの、地上の神殿に戻してくれ。
仲間の所へ行かなければならない。』
だが・・・その前に・・・
「わかりました。
ではこのワープキューブをお使い下さい。
用事がお済み次第、またお迎えに上がります。」
従順なもんだが、それでは困る。
『いや、あんたも一緒にだ。』
「私もですか。わかりました。
お手伝いできる事があれば何なりと申しつけ下さい。」
『そうじゃない。
あんたとの決着がまだついていない。』
そうだろうティアマット。
あんたとて望むところなはずだ。
「嬢・・・!
私には嬢と戦う理由など無いのですよ・・・?」
へっ・・・、やっぱりな。
そんな事を言いながら目は笑っている。
それでこそ龍の血だ。
『私は光の戦士。あんたは風のカオス。
戦う理由が無いわけがないだろう?』
お互いそんな事はどうでもいい。それはよくわかっている。
だが何か理由が要るのならそれしかない。
『さっさと行こう。時間も無いんだ。』
「わかりました。では・・・。」
-----シュウゥゥゥン-----
場は再び、崩れ落ちるカオス神殿へ。
今ここに哀しき2人の龍の血がぶつかりあう事に。
「嬢・・・遊びじゃありません。死にますよ・・・。」
『ああ。どちらかが、な。』
つづく。
最近忙しいです。
さっきまで戦っていたティアマットが、突然人の姿に変身しやがった。
「この姿を見ても思い出されませんか・・・
流石は王家の呪術・・・。」
一体こいつは何を言っているんだ?
『思い出すも何も・・・・・・』
ん・・・・・・?
いや・・・・でもこの男は・・・
確かに・・・・妙に懐かしさのある声・・・
この男は・・・・
『・・・・知っている。』
そう、知っている・・・
こいつは・・・いや、この人は・・・
『・・・参謀長・・・・?』
「嬢・・・!思い出していだだけましたか!」
『いや・・・それしか分からない。
私とあんたの関係とかは・・・それ以外もだけど全然何も思い出せない。』
確かに以前会っている。
会っているというよりは一緒に行動を共にしてきた感がある。
極めて近い立場での関わりがあった・・・ような。
「そうですか・・・いや、そうなのでしょう。
正直なところ、あの姉王様の呪術がそう簡単に解けるとも思えません。」
『あんたは私の過去を全て知っているのか?』
「ええ。全て・・と言うと語弊がありますが、大抵は。
記憶を失う経緯や前後関係などは一応。」
『・・・・。』
さてどうしたものか。
失われた自分の過去に興味が無いなんてことは勿論あり得ないのだが、
状況が状況だ。
「ゆっくりお話をしたいのですが、下らぬ妖魔の奸計でこの神殿はもう持ちません。
ワープキューブがあります、一旦退きましょう。」
『え、ちょっ・・・』
----シュイイィィィィン-----
この感覚は・・・!
上に引っ張られるような、真っ逆さまに下に落ちるような
以前にも同じ経験をした事がある。どこだっけ。
-----シュウゥゥン-----
『・・・何だ?夜になってる・・・。』
・・・いや違う・・ここは・・
「我ら誇り高き龍人族、それらを統べる龍王家の居城です。」
浮遊城!この時代に既にあるのか!?
2000年前の今から言えば、あれは数百年後のルフェイン文明だろう?
「? どうされました嬢。」
『わけがわからない。』
「そうでしょうとも。混乱するのも無理のない事です。
嬢は姉王様によって記憶を封じられてしまっています。」
『姉王・・・?さっきもちらっと言っていたな。』
「はい。先代の龍王です。
嬢と血の繋がった姉君であられます。」
『私の・・・?あんたの姉じゃないのか。』
「私などは平民の生まれ。滅相もない話です。」
『ならあんたは誰なのさ。』
「私は龍王家直属の軍事参謀長ティアマット。
姉王様からの命で、嬢の幼少時よりの目付け役を仰せつかっておりました。」
ふむ・・・つまり先生・・・か?
確かにしっくりくる存在感だ。
とはいえ・・
『そもそもその龍王家がわからない。』
それがさっぱりわからない。
「龍王家とは、我ら龍人族を統べる一族です。」
・・・それはさっき聞いたな。
『えーと・・龍人族?ってのは何だ。』
「私達のように、人でありながら龍に変身できる種族の総称です。
戦いと血を好む誇り高き一族であります。
特に王家の方々におかれましては、その傾向が強いとされております。」
マジか。
『私も・・・?』
龍に変身だと??
「無論そうです、いえ、そうでした。
しかしその変身能力も姉王様により封印され・・・」
なるほど・・・。
とにかくその姉が色んな事の原因なわけか。
姉か・・・。
『私に姉がいるのか・・・。
会って話をしてみたい。』
それに聞くのが手っ取り早い。
「いえ・・・・姉王様は既に他界されました・・・・。
やはりそれも覚えてらっしゃらないのですね・・・。」
『・・・!?』
「不治の病でありました・・・。
姉王様の他界と前後して次期龍王の後継者戦争が始まり・・
姉王様は、その・・何と言いますか・・・」
『?』
何だ?何か口ごもっているような感じだ。
「嬢をその戦争に巻き込みたくない一心で・・・です。
呪術により嬢の能力と記憶を封じられました。
そして誰にも見つからない場所へと移されました。」
ふーん・・・龍王ねえ・・・。
でも龍王って確か・・・
『龍王って・・・バハムート?だっけ?あれじゃないの?』
「バハムート!?あれなどは戦いを好まぬ小賢しい下龍!
誉れ高き王家の血筋とは程遠い下賤な一族ですよ!?」
『そ、そうなんだ?
でも何ていうか、実際に私の来た時代ではバハムートが龍王だったんだけど。』
ん・・・ちょっと待てよ?
時系列が色々おかしい。
バハムートは知っているのか?
あれは2000年後の龍王だ。
第一、この城がおかしい。
『それ以前にこの城は何なんだ?ルフェイン文明とは違うのか?
そもそも・・・前回の浮遊城で会ったティアマットは何なんだ。
あんたあの時は何も言っていなかった。』
「前回?私が嬢と再会したのは今が初めてです。
それにこの城は元々龍王家の物ですよ。
ルフェインと仰りましたが、確かそのような名の龍人族の職人に建立させた物と聞いております。」
『あ、そうか。
ここは過去だから・・それでいいのか・・?』
浮遊城のルーツは元々ルフェインという名前の龍人族の職人が作った物で、
ここから何百年か後に文明として成り立っていく・・ってことだろうか。
今ここにいるティアマットは数百年後の未来に浮遊城で光の戦士と戦う。
その数百年後の未来とは、私にとってはつい最近の過去。
このティアマットはそんな事は知らない・・・ってことか。
もっとも、未来のティアマットが私に何も言わなかったのは謎のままだが。
「そうか・・・そういう事ですか・・・。」
『え?』
今度はティアマットの方が何か納得している。
「姉王様は嬢に封印を施した後、誰にも見つからない場所へ転移させたと仰りました。
私には正直そんな場所が存在するはず無いと不思議に思っていたのです。
浮遊城のデータベースにログインすれば、この世の事象の全ては簡単に割り出せるんです。」
何だか凄い話だ。
「先ほどからの嬢の話に違和感がありました。
嬢・・・この時代ではなく、今より未来から来られたのですね?」
『あ、そうそう・・・それも言おうと思ってたんだ。』
よくわかったな。
流石に王家の参謀長ってのは伊達じゃないって事か。
「見つからない場所とは、空間の事ではなく時間の事だったとは・・・
さすがは姉王様としか言いようがありませんな。
嬢、何年後から来られたのか把握しておられますか?」
『えっと、2000年後。らしいよ。』
「2000年ですか・・・そしてその時代でもティアマット、私に会ったと。」
『そう。浮遊城でね。』
「はっきりした事は言えませんが、それは私では無いと思いたいのが本音です。
実際、龍人族は長命ですから2000年を生きる事については問題ありません。
ですが、嬢に会っておきながら気付かない私など認めたくない。」
あんただって最初気付かなかったじゃないか。
と思ったけど、まあいいや。
しっかしまあ、そんなに長く生きるのか。すげーな。
「もっとも、人としての老化を避けるために、
晩年は龍の姿のみで暮らす者も少なくありません。
さきほどの神殿に配備していた私の部下達もそうですが、
あれらは既に人へとは戻れなくなったドラゴン達です。
戦闘力も全盛時に比べれば遥かに劣りますが、
それでも人の子を相手にする分には不足なかったはずです。」
なるほど・・・。
このティアマットと未来のティアマットとでは戦闘力に違いがありすぎた。
未来のやつはいわゆる劣化タイプだ。
2000年も生きれば衰えるのは仕方ないのだろう。
そしてこのティアマットも哀れただのモンスターになってしまう、と・・・。
ふーむ・・・・。
『大体わかった。』
「はい。」
『・・・・・。』
さてどうしたものか。
この状況はよろしくない。
過去についての話を聞かされた所で、記憶もなければ自覚もない。
それよりも、今現在の問題としてやらなければならない事が残っている。
光の戦士として。
『しかしあんたはどうしてまた風のカオスなんかに?
背後にいるのはやっぱり龍王?なのか?』
「いえ。今の龍王には私は仕えておりません。
旧王家は姉王様が亡くなり、嬢も行方不明と処理されて一族の血は途絶えました。
私にしてみれば現王家に仕える義理もありませぬ。」
『じゃあ何故。』
「風のカオスなどというのは単なる立場でありまして、実際はただ雇われているだけなのです。
落ちぶれた物ですが、それでも我が力を振るえる場があればそれで良い、と。」
『雇われたってのは誰に?』
「ガーランドという人間です。真のカオスとして世を滅ぼすという。
私はその事自体に興味は一切ありませんが力を貸しております。
この立場でなら様々な強者と戦う事ができると思った次第です。
結局はそれが龍人族の血という物でしょうか。」
人の姿をしたティアマットは苦笑混じりにそう答えた。
龍人族・・・龍王家の血・・・。
私にもその血が流れている・・・
さっきの戦闘は純粋に楽しかった。
今こうして話をしていても未だ昂ぶりが治まらない。
正直に言えば決着が着けれなかったのが無念だ。
「ですが、最早どうでもいい事ですな。今こうして嬢がお戻りになられた。
私が仕えるべき主は、旧王家の血筋。
それが再び叶う今が嬉しくてなりません。」
『・・・・・・。』
そう言われてもな・・・。
「姉王様は反対なさっておりましたが、
私自身は次期龍王はやはり嬢しかおらぬと思っておりました。
ですが軍人の私が政に口を出すなど適わぬこと。
姉王様に従う事が絶対なのです。」
『私はそんな気はないぞ。
少なくとも今は他にやらなければならない事がある。』
そうだ。先に行った黒魔を追わなければ。
「やはりそう仰いますか。」
『当然だ。さっきの、地上の神殿に戻してくれ。
仲間の所へ行かなければならない。』
だが・・・その前に・・・
「わかりました。
ではこのワープキューブをお使い下さい。
用事がお済み次第、またお迎えに上がります。」
従順なもんだが、それでは困る。
『いや、あんたも一緒にだ。』
「私もですか。わかりました。
お手伝いできる事があれば何なりと申しつけ下さい。」
『そうじゃない。
あんたとの決着がまだついていない。』
そうだろうティアマット。
あんたとて望むところなはずだ。
「嬢・・・!
私には嬢と戦う理由など無いのですよ・・・?」
へっ・・・、やっぱりな。
そんな事を言いながら目は笑っている。
それでこそ龍の血だ。
『私は光の戦士。あんたは風のカオス。
戦う理由が無いわけがないだろう?』
お互いそんな事はどうでもいい。それはよくわかっている。
だが何か理由が要るのならそれしかない。
『さっさと行こう。時間も無いんだ。』
「わかりました。では・・・。」
-----シュウゥゥゥン-----
場は再び、崩れ落ちるカオス神殿へ。
今ここに哀しき2人の龍の血がぶつかりあう事に。
「嬢・・・遊びじゃありません。死にますよ・・・。」
『ああ。どちらかが、な。』
つづく。
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