浮遊城にて明かされる真相。その１

黒「ほう・・・気付いていたか白・・いつからだ？」

白「クレセントレイクよ・・あそこでのあんたの行動はおかしかった。」

黒「クク・・既にあそこでか、あなどれん。
ならば・・、ここで全て話そう。いい機会だ。」

『おい、一体・・・？』

黒魔の正体・・だと？

こいつら一体何の話をしてやがるんだ。
何が何だかさっぱりわからねえ・・だが

白魔が明らかな敵意を黒魔に向けている。

(白魔のこの反応・・？黒魔・・こいつは敵という事なのか・・？)

ゾクッ


背中を何かが走る。

思えば、この旅は戦いの毎日だった。
戦って戦って、ついにはこんな宇宙まで辿り着いたっていうのによ。
何だってこんなに物足りねえんだ。

絶対に埋まらない何かが確実に私の中にある。

今までのカオスを見るに、どうせティアマットも大した獲物ではないだろう。

(黒魔が敵だとするならば・・)


今まで騙されていた悔しさや、無念さ。
私の中に、そんな思いが全然ない事にきづく。

例えようのない感情が湧き上がる。

ゾクゾクッ

思えばずっと、こいつとやる事ばかりを考えていた。

どうやってこいつを斬るか・・。

(こいつとやれるのか・・？そういうことなのか・・？)


・・ああ、なんだそうか。
黒魔。こいつか・・・！

埋められないと思っていたのは、こいつとやることか・・！
いや、こいつにしか埋められないのだろうな・・。

とてつもない恐怖・・・、いや歓喜・・期待感・・。

こいつとやれる日が遂に来たというのか・・・？

どうやら仲間に裏切り者がいるらしい、という、
そんな状況だというのに喜びを隠せない。
おそらく私の表情は笑っているのだろう。

どう斬る・・？

私は戦士からナイトになり、多少の白魔法を覚えた。
自己防衛程度の強化魔法と回復魔法が使える。

(一手目はブリンクで様子を見るべきか・・いや・・)

相手の攻撃の全ては魔法攻撃であるのは間違いない。
だとすれば物理攻撃の回避率が上がるブリンクは意味がない。

(その一手目の魔法を見極めなければ・・)

各属性高位の、ファイガ・ブリザガ・サンガー…のどれかが妥当か・・？
いや・・・一気に勝負を仕掛けてくる可能性も高い。

だとすれば・・・即死魔法・・・！？

クラウダ・ブレイク・キル・クエイク・デス・デジョン…

やつの即死魔法の種類は豊富だ。

ブレイクは石化魔法だし、イージスの盾で無効化できる。

あまり可愛らしいのは趣味じゃないが、
リボンでクラウダの毒は無効化できるはずだ。

キルとデス・・この2つは違いが分からないが、
これは恐らく守りの指輪があれば無効化できる。

(こっちの装備は向こうにもわかっているはず・・。)

だとすれば・・・
対処法のないクエイクかデジョンだろう。

しかしクエイクは地割れで飲み込む性質上、空中に退避できれば問題ない。

(そう考えるとデジョンか・・・・厄介だな。)

どう防ぐ・・・？

(いや・・勝負は一瞬ということか・・・。)

やつのデジョンが、いや、デジョンだろうと他の魔法だろうと、
それが発動する前に一気に畳み掛ける・・・それしかない。

ふと気付く。

(へっ、なんだ。いつもと同じじゃねえか。)
思わず笑いがこぼれそうになる。

そうだ。
結局のところそれしかないんだ。

私・・いや、俺は戦士の頃からずっとそうやって戦ってきた。
殺られる前に殺る。
元々それしかできねえんだし、それでいいんだ。

ナイトになって人間的に成長できた実感はあるが、
なんのこたあねえ、本質は変わらねえってこったな。


よし、これでいい。
覚悟を決める。

さあ話してみろ黒魔、お前の正体とやらを・・・！

黒「俺は・・この世界の人間ではない。」

忍「・・な、なんだって・・？」　

『・・・。』
もう剣を抜いておくべきか・・・？
いや、まだ早い・・焦るな・・。
不意打ちで斬れたとしてもつまらねえ。

(くっくく・・ダメだ・・こいつとやれると思うと悦びが止まらねえ・・！)
戦いを堪えるのはこんなに大変なのか・・！

だが焦っちゃだめだ・・。
鎮まれ・・鎮まるんだ俺の右手っ・・・！


つづく。
_{黒はこの世界の人間じゃないみたいだよ！}